車を持っていると、ディーラーから「車検のお知らせ」と「定期点検のお知らせ」が別々に届くことがありますよね。
去年車検を受けたばかりなのに、また点検?と疑問に思った経験がある方も多いのではないでしょうか。
実は、車検と定期点検は全く別の制度で、それぞれ異なる目的を持っています。
車検は保安基準に適合しているかを確認する検査で、定期点検は故障を未然に防ぐための予防点検です。
12ヶ月点検や24ヶ月点検といった法定点検の義務や罰則の有無、費用相場の違いなど、知っておくべきポイントがたくさんあります。
この記事では、車検と定期点検の違いについて、目的、義務、罰則、費用、頻度など、あらゆる角度から詳しく解説していきます。
また、定期点検を受けないリスクやメリット、実施タイミングについても触れていきますので、安全で安心なカーライフを送るための参考にしていただければと思います。
- 車検と定期点検の基本的な目的や義務の違いが理解できる
- 12ヶ月点検と24ヶ月点検の点検項目数や費用相場がわかる
- 定期点検を受けないことによる具体的なリスクが把握できる
- 車検と定期点検を受けるベストなタイミングが明確になる
車検と定期点検の違いを詳しく解説
車検と定期点検は、どちらも道路運送車両法で定められた重要な制度ですが、その目的や内容は大きく異なります。
ここでは、両者の違いについて、目的、義務、点検項目、費用、頻度といった観点から詳しく見ていきましょう。
車検と定期点検の目的の違い
車検と定期点検は、一見似ているように感じますが、その目的は根本的に異なります。
車検(自動車検査登録制度)は、車が国の定めた保安基準に適合しているかを確認するための検査です。
言い換えれば、「今この瞬間、公道を走っても問題ない状態か」をチェックするものです。
ブレーキが効くか、ライトが点灯するか、排気ガスが基準値内かなど、安全性と環境面での最低限の基準をクリアしているかを判定します。
車検の目的
保安基準に適合しているかの「検査」であり、その時点での合否判定。
例えるなら「検問」のようなイメージです。
一方、定期点検(法定点検)は、車の故障を未然に防ぎ、安全に走行できる状態を維持するための予防的な点検です。
ブレーキパッドの残量、オイル漏れ、各部の摩耗状態など、「これから先も安全に乗り続けられるか」を確認します。
定期点検の目的
故障を未然に防ぐための「予防点検整備」。
例えるなら「人間ドック」のようなイメージです。
つまり、車検に合格したからといって、1週間後に故障しないという保証はありません。
車検は「今」の状態を見るだけで、将来の安全性までは保証しないんです。
だからこそ、定期点検で継続的に車の健康状態をチェックする必要があるわけです。
車検と定期点検の義務や罰則の違い
車検と定期点検は、どちらも道路運送車両法で定められた義務ですが、その強制力には大きな違いがあります。
車検の義務と罰則
車検は強行的義務であり、違反した場合には厳しい罰則が設けられています。
道路運送車両法第58条により、有効な車検証がない車を公道で運行することは禁止されているんです。
| 違反内容 | 刑事処分 | 行政処分 |
|---|---|---|
| 車検切れで走行(無車検運行) | 6ヶ月以下の懲役 または 30万円以下の罰金 | 違反点数6点、免許停止30日間 |
| 自賠責保険も切れている場合 | 1年6ヶ月以下の懲役 または 80万円以下の罰金 | 違反点数12点、免許停止90日間〜 |
車検証不携帯や検査標章(車検シール)の未表示だけでも、50万円以下の罰金が科される可能性があります。
かなり厳しいですよね。
定期点検の義務と罰則
一方、定期点検は道路運送車両法第48条で義務とされていますが、自家用乗用車については直接的な罰則がありません。これが車検との大きな違いです。
ただし、罰則がないからといって受けなくていいわけではなく、以下のような間接的な不利益があります。
【定期点検を受けないことによる間接的な不利益】
- 整備命令が発令される可能性(保安基準不適合の場合)
- 車検証の備考欄に未実施の記録が残る
- メーカー保証の対象外になる可能性
- 売却時の査定額が下がる(約1万5,000円程度の差)
特にメーカー保証については、多くのメーカーが保証条件に「法定点検の実施」を明記しているので、注意が必要です。
車検と定期点検の点検項目数の違い
車検と定期点検では、チェックする項目の数が大きく異なります。
主に以下のような基本的な検査を行います。
| 点検種類 | 点検項目数 |
|---|---|
| 定期点検(12ヶ月点検) | 26〜29項目 |
| 車検(24ヶ月点検) | 56〜60項目 |
12ヶ月点検では、室内点検、エンジンルーム点検、下まわり点検、足まわり点検など、26〜29項目をチェックします。
ブレーキペダルの遊びや、パワーステアリングベルトの緩み、タイヤの状態など、かなり細かく見ていくんです。
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24ヶ月点検になると、さらに30項目ほど追加され、サスペンション関連や動力伝達装置、公害防止装置など、より詳細な点検が行われます。
車検と定期点検の費用相場の違い
車検と定期点検では、かかる費用も大きく異なります。
2024〜2025年の相場を見てみましょう。
車検の費用相場
車検費用は、法定費用と車検基本料・整備費用に分かれます。
法定費用は、どこで車検を受けても同額です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 自賠責保険料(24ヶ月・普通車) | 17,650円 |
| 自賠責保険料(24ヶ月・軽自動車) | 17,540円 |
| 自動車重量税(2年分) | 6,600円〜41,000円(車両重量による) |
| 印紙代 | 約1,600円〜2,300円 |
車検基本料は依頼先によって大きく変わります。
| 依頼先 | 車検基本料相場 | 総額目安 |
|---|---|---|
| ディーラー | 35,000〜100,000円 | 70,000〜150,000円 |
| 民間整備工場 | 20,000〜40,000円 | 50,000〜80,000円 |
| 車検専門店 | 10,000〜30,000円 | 35,000〜60,000円 |
| ユーザー車検 | 0円 | 法定費用のみ(約27,000〜45,000円) |
定期点検の費用相場
定期点検は車検と比べると、比較的安価です。
| 点検種類 | 費用相場 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 12ヶ月点検(ディーラー) | 10,000〜30,000円 | 約2時間 |
| 12ヶ月点検(整備工場等) | 6,000〜10,000円 | 約1時間 |
| 24ヶ月点検 | 通常は車検費用に含まれる | − |
【費用についての注意点】
上記の金額はあくまで一般的な目安です。
車の状態や必要な整備内容によって、実際の費用は変動します。
車検と定期点検の頻度の違い
車検と定期点検では、実施する頻度も異なります。
自家用乗用車の場合を見てみましょう。
| 点検種類 | 頻度 | 備考 |
|---|---|---|
| 車検(24ヶ月点検) | 新車から3年後、以降2年ごと | 有効期限を1日でも過ぎると公道走行不可 |
| 定期点検(12ヶ月点検) | 毎年1回 | 前回点検日から12ヶ月以内に実施 |
新車を購入した場合のタイムラインを見ると、わかりやすいですね。
- 1年目:12ヶ月点検
- 2年目:12ヶ月点検
- 3年目:初回車検+24ヶ月点検
- 4年目:12ヶ月点検
- 5年目:2回目車検+24ヶ月点検
車検の年は24ヶ月点検(車検に含まれる)のみでOKで、12ヶ月点検は不要です。
つまり、12ヶ月点検は車検と車検の間の年に受けるものなんです。
車検と定期点検の違いを踏まえた対応

ここまで車検と定期点検の基本的な違いを見てきましたが、実際にどう対応すればいいのか、具体的なポイントを解説していきます。
12ヶ月点検と24ヶ月点検の違いや、ベストなタイミング、受けないリスクなども詳しく見ていきましょう。
12ヶ月点検と24ヶ月点検の違い
定期点検には、12ヶ月点検と24ヶ月点検の2種類があります。
この2つの違いについて理解しておきましょう。
12ヶ月点検(1年点検)
12ヶ月点検は、26〜29項目の点検を行います。
主な点検箇所は以下の通りです。
- 室内点検:ブレーキペダルの遊び、パーキングブレーキの引きしろ、クラッチペダルの遊びなど
- エンジンルーム点検:パワーステアリングベルトの緩み、エンジンオイルの漏れ、ファンベルトの状態など
- 下まわり点検:ステアリングギアボックスの取付緩み、マフラー取付部の緩みなど
- 足まわり点検:タイヤの状態、ブレーキドラムやパッドの摩耗など
24ヶ月点検(2年点検)
24ヶ月点検は、12ヶ月点検の項目に加えて、さらに約30項目が追加され、合計56〜60項目の点検を行います。
追加される主な項目は以下の通りです。
- サスペンション関連:取付部・連結部の緩み、ショックアブソーバーの油漏れなど
- 動力伝達装置:クラッチの作用、トランスミッションやデファレンシャルの油量・油漏れなど
- ブレーキ関連(詳細):ディスクの摩耗・損傷、ホイールシリンダーの機能など
- 公害防止装置:触媒等の排気ガス浄化装置、燃料蒸発ガス排出抑止装置など
24ヶ月点検の方が点検項目が多く、より詳細なチェックが行われます。
そのため、24ヶ月点検は車検と同時に実施されるのが一般的です。
車検と定期点検のタイミングの違い
車検と定期点検を受けるタイミングについて、よくある疑問に答えていきます。
車検と24ヶ月点検は同時に行うべき?
はい、同時に行うのが一般的で効率的です。
ディーラーや整備工場に車検を依頼すると、通常は24ヶ月点検も同時に実施されます。
これを「整備車検」と呼びます。
法定費用に加えて、24ヶ月点検の費用も含まれた形で請求されます。
ユーザー車検(自分で運輸支局に車を持ち込んで検査を受ける方法)の場合でも、24ヶ月点検は義務として別途行う必要があります。
車検に合格したからといって、24ヶ月点検をしなくていいわけではないので注意が必要です。
車検の年と12ヶ月点検が重なる場合は?
車検年は24ヶ月点検のみでOKです。
12ヶ月点検は、車検と車検の間の年(1年目、2年目、4年目など)に受けるものです。
車検の年に改めて12ヶ月点検を受ける必要はありません。
定期点検の期限を過ぎてしまったら?
期限を過ぎても、特別な申請は不要で、通常通り点検を受けられます。
ただし、安全のため、気づいたらできるだけ早めに受けることをおすすめします。
タイミングの目安は?
点検の期限日の前後1ヶ月での実施が理想的です。
早めに予約を入れておくと安心ですね。
定期点検を受けないリスク

定期点検には直接的な罰則がないため、「受けなくてもいいかな」と思ってしまう方もいるかもしれません。
しかし、定期点検を受けないことには、さまざまなリスクがあります。
突然の故障による高額な修理費用
定期点検を受けないと、小さな不具合を見逃して、大きな故障につながる可能性があります。
例えば、エンジンの冷却水が漏れているのに気づかずに走行を続けると、エンジンがオーバーヒートしてしまうことがあります。
エンジンが焼き付くと、修理費用が数十万円から場合によっては100万円以上かかることも。
定期点検で早期に発見できていれば、数千円〜数万円の修理で済んだかもしれないんですね。
メーカー保証が受けられない可能性
多くの自動車メーカーは、保証条件に「法定点検の実施」を明記しています。
定期点検を受けていないと、故障した際にメーカー保証が適用されない可能性があるんです。
特に、オイル交換を怠ったことによるエンジン焼付きなど、点検未実施との因果関係が明確な場合は、保証対象外になる可能性が高いです。
売却時の査定額が下がる
車を売却する際、定期点検の記録がある「点検整備記録簿」があると、査定評価額が上がる可能性があります。
逆に、メンテナンス記録がまったくないと、査定額がマイナスになることも。
【定期点検を受けないことによる主なリスク】
- 突然の故障による高額な修理費用
- メーカー保証が受けられない可能性
- 売却時の査定額ダウン
- 安全性の低下による事故リスク
- 車検証備考欄への記録(2015年6月〜)
定期点検を受けるメリット
定期点検を受けることには、リスク回避だけでなく、さまざまなメリットがあります。
安全性の向上
ブレーキパッドの摩耗やタイヤの状態など、安全に直結する箇所を定期的にチェックすることで、雨の日にワイパーが突然機能しなくなるといった、予期せぬトラブルを防げます。
故障の予防と修理費用の削減
小さな不具合を早期に発見することで、大きな故障を未然に防ぎ、結果的に修理費用を抑えられます。
「転ばぬ先の杖」というわけですね。
メーカー保証の継続
定期点検を正しく受けることで、新車購入時に付帯する特別保証や一般保証を受けられる状態を維持できます。
いざというときに保証が適用されるよう、きちんと点検を受けておくことが大切です。
車の性能維持
定期的なメンテナンスにより、車本来の走行性能を維持できます。
燃費の悪化を防いだり、乗り心地を良好に保ったりすることにもつながります。
売却時の査定アップ
点検整備記録簿に定期的な点検履歴が記載されていれば、車の状態が確認しやすくなり、査定が有利になる可能性があります。
【定期点検のメリットまとめ】
- 安全性の向上
- 故障の予防と修理費用の削減
- メーカー保証の継続
- 車の性能維持(燃費・乗り心地)
- 売却時の査定アップ
定期点検と車検の必要性
ここまで見てきたように、車検と定期点検は、どちらも車を安全に維持するために欠かせない制度です。
車検だけでは不十分な理由
車検は「今この瞬間」の保安基準適合を確認するだけで、将来の安全性までは保証しません。
車検に合格した翌日に故障する可能性もゼロではないんです。
車検の検査項目は約8項目と少なく、ブレーキパッドの残量やオイルの状態など、詳細な部分まではチェックされません。
数ヶ月後にブレーキパッドが摩耗する状態であっても、車検の時点で基準を満たしていれば合格してしまうんです。
定期点検の重要性
定期点検は、26〜60項目という詳細な点検により、「これから先も安全に乗れるか」を確認します。
車の各部品は消耗品なので、長期的にチェックせず使い続けると、故障により重大な事故を招く恐れがあります。
車検と定期点検、両方を適切に受けることで、初めて安全で快適なカーライフを送れるというわけです。
自分で点検できる?
法律上は、定期点検を自分で行うことも可能です。
ただし、専門知識や工具が必要であり、特に下回りの点検項目はジャッキアップが必要で危険を伴います。
また、自分で点検した場合は、点検整備済ステッカーは貰えません。
ステッカーには次回の点検時期が記載されているので、点検漏れを防ぐ意味でも、プロに依頼するのが安心ですね。
点検の依頼先
定期点検は、ディーラー、整備工場、カー用品店、ガソリンスタンド、車検専門店などで受けられます。
認証整備工場であれば、ディーラー以外でも問題ありません。
車検と定期点検の違いまとめ
ここまで、車検と定期点検の違いについて詳しく見てきました。
最後に、重要なポイントをまとめておきましょう。
| 項目 | 車検 | 定期点検 |
|---|---|---|
| 目的 | 保安基準適合の検査 | 故障予防・性能維持 |
| 頻度 | 初回3年、以降2年ごと | 1年ごと(12/24ヶ月) |
| 罰則 | あり(懲役・罰金・免停) | なし(自家用車) |
| 費用目安 | 35,000〜150,000円 | 6,000〜30,000円 |
覚えておきたい重要なポイント
- 車検は「今」の検査、定期点検は「これから」の予防点検
- 車検に罰則あり、定期点検は自家用車には罰則なし(ただし義務)
- 車検の年は24ヶ月点検のみでOK、12ヶ月点検は車検と車検の間に受ける
- 定期点検を受けないと、故障リスク・保証対象外・査定ダウンなどのデメリットあり
- 車検と定期点検、両方を適切に受けることが安全なカーライフの基本
最終的な判断について
この記事でご紹介した費用相場や点検項目は、あくまで一般的な目安です。
車の状態や年式、走行距離によって、必要な整備内容は異なります。
車検や定期点検の具体的な内容や費用については、ディーラーや整備工場に直接ご相談いただくことをおすすめします。

